TRANBIコンサルティングチームの安田と申します。

本シリーズ11月分では、教育業と関係が深かった「介護・福祉業」におけるM&Aの動向や特徴を、TRANBI上での交渉・成約実績や9月-10月実施の介護・福祉業に関わるアンケート結果をもとにお伝えしてまいります。

本編はM&Aを活用した異業種参入動向の、以下3点をお届けします。

 ・M&A概況

 ・事業売却状況

 ・業界の今後

TRANBIに掲載された介護・福祉関連の案件は累計で130件を超えております。

介護・福祉とひと口で言っても事業内容は多岐にわたりますので、今回は事業セグメント別に確認しました。まず、案件数は以下のようになっています。

※2020年10月末時点でのTRANBI上掲載 介護・福祉業案件より


介護・福祉業の中でも「通所介護・デイサービス」の案件が特に多いようですが、介護・福祉業に対するM&A需要が高いためか、事業セグメントに関わらず万遍なくM&A案件として上がっているようです。


更に、事業セグメント別に、売却金額を紐解きました。

※2020年10月末時点でのTRANBI上掲載介護・福祉業案件 売却希望金額より


訪問介護はヘルパーが高齢者宅に訪問し、身体介護や生活関連のサポートを行いますが、TRANBI掲載案件だと全てが売上1億円以下の事業であり、また設備の整った不動産が必要ないためか資産も小さく、従って売却希望価格も1億円以下の場合がほとんどです(中央値は1,000~5,000万円)。


売却希望価格が低く譲り受けを検討しやすい一方で、近年、訪問介護はヘルパーの獲得が難しく、またヘルパー自身が60代に差し掛かっているなど、人絡みの課題が多くなっており、小規模の訪問介護事業者は人件費の高騰などから倒産が増えています。

※以下の東京商工リサーチによれば2019年も2020年も上半期で訪問介護事業者の約30社が倒産(



一方、施設型の老人ホームは売上規模も半数が1億円を超えており、また設備の整った不動産もセットとなるため売却希望価格は高額になる傾向があり、TRANBI掲載の案件ですと8割が1億円以上となっています。先ほどの東京商工リサーチの調査では、有料老人ホームの倒産は微増という状況です。

では、介護のプロである介護業界の方は何に強く興味を持っているのでしょうか?

これはハッキリと傾向が出ており、1案件あたりの交渉数から、買い手である介護事業者は特養・グループホームに強く関心があることが推察できます。

※2020年1月~7月でのTRANBI上掲載介護・福祉業案件 交渉案件より


この理由は実際に介護業界を経営されている方に解説していただけますと幸いですが、案件データを確認すると、老人ホームに比べて、特養・グループホームは売却希望価格と業績のバランスが良い点があるのではないかと推察します。


特養・グループホームの案件も老人ホームと同じく売上1億円以上の割合が50%ですし、営業利益も老人ホームと遜色ありません。

一方、資産規模や負債規模は老人ホームに比べると小さい場合が多く、結果として半数が売却希望価格1億円以下となり(老人ホームだと2割)、譲り受けを検討しやすくなっているものと考えられます。

いずれの業種も高齢化を迎える日本には無くてはならない大事なお仕事ですし、将来的に海外への輸出産業になる可能性もあります。一方で担い手は不足しており、効率化は急務です。

異業種からの参入が多いと言われている業界ですが、飲食業・宿泊業・人材業・医療業・製造業など多くの業界から参入があり、各業界のノウハウが持ち込まれ介護業界が大きく発展することを、弊社も事業承継という立場で尽力してまいります。

介護業に携わっている方で、業界を詳しく解説してくださる方がいらっしゃいましたら、以下より経営レポートライターのご登録をお願い致します。

【ライター登録】



また、2020年11月号レポート(介護業前編)に対する感想は以下リンクよりお寄せください。「この部分をもう少し深掘りして知りたい」「この業種について同様の分析が欲しい」などのご要望もお待ちしております。

【11月レポートのFBアンケート】